売買される言葉
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そうです、あなたの持ち時間をいっぺんに使わなければよいのです。まず半分の時間休憩する。残りの半分の時間を暇つぶし用にとっておく。次のときには残っている暇つぶし用の時間の半分だけを使って休憩する。そしてまた残りの時間を暇つぶし用にとっておく。そんなふうに休憩時間を使うときはいつでも半分だけ使うのです。この方法を続けていけば、あなたは全部の時間を使い切ってしまうことはできないはずだ。
「時間です、どうぞお早く願います。」
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あなたは眼鏡をはずそうとする仕種をする。その頃、あなたの視力は眼鏡を必要としていなかった。目の前にある何かをとり除こうとするこの仕種が、あたかもまぶたを開くことによって達成する行為に対応するかのように、あなたの目ざめを構成する。
眼鏡をはずすことは、眠りからさめること。しかし眠りにはいるためには、眼鏡をはずさなければならない。一方、眼鏡をはずすことが眠りからさめることであるなら、眼鏡をつけることは眠りにはいることであるはずだ。しかし眼鏡をつけるのは眠りからさめたあとに行なうことなのだ。そしてじっさい、眼鏡をつけるように眠りにはいることはできない。あなたは眼鏡をはずす。それからまた眠りのなかで眼鏡をはずす。あなたは眠りのなかで眼鏡をはずす。それからまた眼鏡をはずす。
一度ならず二度までも、しかしある意味では二度寝だけが存在している。あなたは眼鏡をはずそうとして眼鏡をはずそうとする。しかしあなたが眼鏡をはずした瞬間、あなたの目が覚める。仕方ない、今度はしくじらない。あなたは眠ろうとする。しかし眼鏡をつけることはできない。なぜならあなたはすでに眼鏡をかけているから。仕方ない、今度はしくじらない。あなたは目を覚まそうとして眼鏡をはずそうとする。しかしあなたが眼鏡をはずした瞬間、あなたの眼鏡がはずれる。
「時間です、どうぞお早く願います。」
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二度ないことは一度もない、一度あればかならず二度になる。あなたは目覚ましをかけるとかならず、設定した時刻より前に目が覚める。予定通りに、ベルが鳴ってから起きるのではない。ベルが鳴る前に起きるのです。だから時計がいまこの場所になくても、ただ、目覚ましをセットするという行為さえあれば、あなたは予定より前に起きることができるでしょう。
あなたは目覚ましをかけないとかならず、設定した時刻より後に眠りにはいる。ベルが鳴らないから眠るのではない、予定なしにベルが鳴った後に眠るのです。だから時計がいまこの場所にあっても、ただ、不意になる目覚ましを待つという行為さえあれば、あなたは眠ることができるでしょう。眠りはそもそも、寝入りに先立ち、目ざめに遅れてつねにあったのだ。
判断がおぼつかない頭で、あなたが自分の状態はとりかえしがつかないと判断したとき。気づいたときにはもう起きている。気づかなかったときにはもう眠っている。だから、目ざめに関する痕跡は何も見つからないし、寝入りに関する予想もどこにも見あたらない。
「時間です、どうぞお早く願います。」