Thursday, February 07, 2008

For Example vol.6


クロード・ヴィアラ Claude Viallat
《綱の螺旋/Spirale de Corde》
1970
木、綱、黒のリュブソン防水塗料
高さ:153cm、螺旋の直径:63cm

[実験の目的]
既存の絵画から遠くかけ離れた外見を持ちながら、定義づけようとすると、絵画としか言いようがないもの。たとえ人間の作った他の物品にどんなに似ていようとも、それらと同じ用途を果たすには至らず、結局は絵画というカテゴリーにしか当てはまらないもの。以上の様態を持つ物体を作ること。

[実験の仮説]
絵画を絵画たらしめているのは、絵の具やキャンバスという素材ではなく、何がどのように描かれているかというモチーフや技法ですらない。絵画の条件とは「支持体(supports)と表面(surfaces)」の関係、ただそれのみである。「表面」とは、塗り、記し、汚し、傷つけ、投影することが可能なフィールドを指す。均質な密度を保った一定の積を持つ「表面」と、それを成立させる下部構造である「支持体」。この関係さえあれば、どんなものでも絵画たりうる。他の一切の要素は余剰である。
*付記
しかし、この実験ののちに浮上するのはむしろ、必ず現われてしまう余剰たる部分の選択が、いかなる基準によってなされるのかという問題である。文化的な下部構造である「趣味(taste)」の圏域については、この実験の枠組みでは取り扱うことができない。

[実験の方法]
1. 任意の長さの縄を渦巻状に巻きつけ、円形の面を作る。
2. この面をキャンバスと捉え、木枠の代わりに、一方の先端を尖らせた棒を側面から串刺し、渦巻の真ん中を通して貫通させ、固定する。棒が縄の編み目の中を通っているという構造を明示するため、貫通によって押し出された縄のでっぱりをそのまま残す。
3. 面であることを強調し、表/裏の区別をつけるため、一方の面に黒の塗料を施す。これは縄の素材性を中和する効果もある。

Labels: